是正勧告の相談・対応をいたします
労働基準監督署より是正勧告または指導票をうけた場合、交付された是正勧告書に記載してある内容の是正を指定の期日までに行い、その内容をまとめた報告書を提出する必要があります。
当事務所では是正勧告を受けた事業所様の相談・是正内容の対応並びに是正後の対処などをアドバイスいたしております。
労働基準監督署の調査の種類には以下の4種類があります。
- 定期監督
定期的に行われる調査で、労働基準監督署が任意無作為に選んだ企業を調査。 - 申告監督
労働者の申告があった場合に、その申告内容を調査するもの。 - 災害時監督
一定規模以上の労働災害が発生した場合の実態確認と原因究明の調査。 - 再監督
是正勧告後、内容が是正されたか確認する調査。
「是正勧告」とは、どういったものなのか。以下によくある労働基準監督署からの是正勧告の事例とその他の事例を紹介いたします。
労働基準監督署より是正勧告を受けた。
ある日突然、労働基準監督署より、事業場調査の通知がきた。賃金台帳・タイムカード・労働条件通知書など提示を求められ調査に応じた。
以下の点について指導され、是正勧告書を受け取った。
労基法第15条 | 賃金・労働時間等の法定事項を書面で交付していないこと。 |
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労基法第32条 | 時間外労働に関する協定を締結していないのに、1週40時間、1日8時間を超えて労働させていること。 |
労基法第37条 | 1日8時間、1週40時間を超える労働及び休日労働について、法定の率で計算した割増賃金を支払っていないこと。 |
労基法第89条 | 常時10人以上の労働者を使用しているにもかかわらず、就業規則を作成し労働基準監督署長に届出をしていないこと。 |
労基法第108条 | 賃金台帳に労働時間数、時間外労働時間数を記入していないこと。 |
安衛法第66条 (安衛則第44条) |
常時使用する労働者について、1年以内ごとに1回定期に、医師による健康診断を実施していないこと。 |
最賃法第4条 | 最低賃金(高知県最低賃金)以上の賃金を支払っていないこと。平成○年○月分賃金に遡って再計算のうえ不足分を支払うこと。 |
指導事項 | 月給制の従業員について、労働時間の把握・管理が行われていない。始業及び始業時刻を把握し、時間外労働の時間数の適正管理の対策を講じること。 |
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指導事項 | 年次有給休暇の各人別の残日数を明らかにすること。 |
退職した従業員が、未払い残業代を請求してきた。
退職した従業員が、過去2年間について、現場へ到着までの残業代を請求してきました。
勤務時間・賃金
労働時間 8時00分から17時00分(休憩1時間)1日8時間労働
賃 金 日給10,000円
実態は、朝7時に会社へ出勤して会社の業務車両に相乗りし、現場へ8時に到着していました。
問題となったのは、その7時から8時までの時間が労働時間であるか否か?
会社から現場までの移動時間(7時~8時)の1時間について、労働時間に該当した場合の残業代(時間外労働割増賃金)はいくらになりますか?
<日給10,000円 1日の所定労働時間8時間00分>
10,000円÷8H=1,250円
1,250円×1.25=1,562.50円⇒1,563円
1日1Hの残業代1,563円となります。
- 2年間支払うとなれば……
1年間の未払い残業代401,691円(1日1Hの残業代1,563円×年間労働日数257日)
2年間となれば 803,382円 - 今後どうすればよいか……
※今後の対応・対策については、事業の種類・業務内容、労働時間・休憩時間、賃金体系を抜本的に全て見直し、対応できる打開策を見出しました。
退職した現場主任が朝30分・夕方30分の残業代を請求してきた。
現場主任の従業員が、朝の早出出勤30分と夕方の業務日報記入にかかる時間30分、合わせて1日1時間の残業代を請求してきた。
勤務時間・賃金
労働時間 | 8時00分から17時00分(休憩1時間)1日8時間労働 |
賃金(月給) | 基本給 220,000円 現場主任手当 60,000円 |
会社としては、現場責任者として他の社員より30分早く出勤しており、又、現場終了後に業務日報を仕上げる時間が30分かかると想定して、現場主任手当60,000円を支給していた。当然、残業代は支払ったものとして取り扱っていました。
ところが、会社は本人に対し、現場主任手当60,000円が残業代である説明を全く行っていませんでした。
雇用契約書(労働条件通知書)にも単に(基本給220,000円、現場主任手当60,000円)と記載されているだけで、就業規則にも「現場主任手当が残業代である」との記載はありませんでした。
残業代を払うとすればいくらになりますか?
<平均所定労働時間171時間20分(年間休日108日)>
現場主任手当が残業代であることは認められず。月額28万円で残業代の計算を行うことになりました。
280,000円÷171H20分=1,634.24円⇒1,634円
1,634円×1.25=2,042.50円⇒2,043円
1箇月の残業代 2,043円×22H=44,946円
※今後の対応・解決策については、所定労働時間・休憩時間・休日日数、交代制の可否、賃金構成等を全て見直し無事打開点を見出しました。